Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 073 caractères · 223 écrans

Aozora Bunko

――だがおれは好まない。

国のために、藩のため主人のため、また愛する者のために、自からすすんで死ぬ、ということは、侍の道徳としてだけつくられたものではなく、人間感情のもっとも純粋な燃焼の一つとして存在して来たし、今後も存在することだろう。――だがおれは好まない、甲斐はそっと頭を振った。

たとえそれに意味があったとしても、できることなら「死」は避けるほうがいい。そういう死には犠牲の壮烈と美しさがあるかもしれないが、それでもなお、生きぬいてゆくことには、はるかに及ばないだろう。

甲斐がそこまで考えたとき、とつぜん、隣りに坐っていた丹三郎が「無礼者」と叫んで立ちあがり、殆んど座を蹴るようにして、縁側のほうへ出ていった。

庭さきに一人の男が立っていた。

鳴物や唄声がいちじにやみ、みんなが縁側のほうを見た。その男は覆面をしていた。たぶん裏から忍びこんだものであろう、縁さきの沓脱ぎ石に片足をかけ、甲斐のほうを注視しながら、静かな声で云った。

「原田さん、会って下さい」

丹三郎は走ってゆき、脇差に手をかけて、もういちど烈しく叫んだ。

「騒ぐな丹三郎」と甲斐が制止した、それから男に云った、「こちらの名をご存じなら、そちらの御姓名も聞こう、御用はなんですか」