Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lisez 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 112 073 caractères · 223 écrans
小屋の中は、なにかの獣肉を焙る、香ばしい煙があふれてい、炉端に与五兵衛がかしこまっていた。
はいって来た周防を見ると、与五兵衛は黙って会釈をし、円座を直した炉端へ、手を振ってみせた。周防は上へあがった。
隼人は「館を留守にできない」旨を述べ、与五兵衛に接待を命じて、帰っていった。周防は炉端へ坐りながら、「久しぶりだな、与五」と云った。
与五兵衛はなにか噛みでもするように、口をもぐもぐさせてから「七年になるかな」とゆっくり答えた。
彼は逞しい躯をしていた。綿入れ布子に、熊の皮の胴衣を重ねているが、肩から胸へかけての肉の厚みや、平たく潰れてはいるが、しかも、太く節くれだっている大きな手指は、見る者に圧迫感を与えるほど、重量と力感をもっていた。髪は灰色だし、顔の半分を掩っている髭も殆んど灰色である。殆んどというのは、鼻下の一部と、顎の一部に黒いところが残っていて、それが、彼の無表情などこか野獣めいた相貌を、いくらかなごやかにみせるようであった。日にやけた栗色の顔は、固く肥えていて、膏ひかりがし、少しくぼんだ細い眼にも、まだ壮年のような力と光があった。
与五兵衛はひどく無口で、必要なこと以外には、なにを訊かれても返辞をしないし、また、甲斐のほかには、誰に対しても礼をしなかった。