Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぶそうせるしがい
武装せる市街
黒島 伝治
Lisez 武装せる市街 (ぶそうせるしがい) de 黒島 伝治 (くろしまでんじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 115 959 caractères · 234 écrans
土嚢は作るそばから、塀のように、又、別の箇所へ積み重ねられる。いくら作っても足りない。警戒巡視に出る人員がきめられる。歩哨がきめられる。当番卒がきめられる。炊事当番がきめられる。不寝番がきめられる。
「おやッ、俺の上衣を知らねえか?」
柿本の組で作業していた上川が、猫のようにアカシヤの叉にかけられた他人の軍衣をひっくりかえして歩き出した。巡邏隊の一人として呼ばれた男だ。黄土のほこりに襦袢が、カーキ色に変ってしまっていた。アカシヤの枝から、アカシヤの枝を、汚れた汗と土の顔を上にむけて、やけくそにたずねだした。無い。兵士が揃うのを待っている引率の軍曹はさん/″\に毒づいた。
上川は、一度しらべた他人の被服記号をもう一度、汚れた手でひねくった。
「誰れか俺れのやつを間違って着とるんじゃないんか。」ますますいらいらした。負け惜みを云う。
「どこにぬいだったんだい? ぼんやりすな。」
「どこちゅうことがあるかい。ここだい。」
「ボヤッとしとるからだ。今に生命までがかッぱらわれてしまうぞ。戦地にゃ物に代りはねえんだぞ。」
つるはしを振るっている連中は、腰が痛くてたまらない。