Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

すいちゅうのきゅうでん

水中の宮殿

野村 胡堂

Lisez 水中の宮殿 (すいちゅうのきゅうでん) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 26 533 caractères · 52 écrans

Aozora Bunko

爺やが殺された――綾子の後悔

二、三日前には――」

正平爺やは、何やら綾子に囁きました。

「爺や、私、怖い」

「ですから、今すぐ鎌倉へいらっしゃいまし。お荷物は後からお届けしますから」

「爺やは?」

「私は此処で見張っていなきゃアなりません。私がいなくなったら、悪者共は、どんな事をやり出すか判りません」

「でも」

「お嬢様は、大事な大事な仕事を持っていらっしゃるじゃございませんか。万一の事があったら、広い世界に、誰がお父様――立花博士の恐ろしい汚名を雪ぐでしょう」

「爺や、行くワ、叱らないでね」

「誰が、お嬢様を叱るものでしょう。とんでもない」

爺やも、綾子も泣いておりました。暫くは白髪頭と断髪と、テラスの葡萄の葉蔭に、頷き合うように揺れていたのです。

爺やが殺された――綾子の後悔

綾子は名匠の刻んだ「悲しみの塑像」のような乙女でした。

父立花博士は、北上川の底から平泉館の宝庫を掘り出す事を考え出し、大勢から資金を集めて仕事に取りかかりましたが、いろいろの手違で失敗した為、大詐欺師扱にされて、未決監の中で死んでしまいました。

それは昨年の秋のこと――、後にたった一人取残された綾子は、迫害と侮辱との中に、爺やの正平を相手に淋しく暮して来たのです。