Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

すいごういぶん

水郷異聞

田中 貢太郎

Lisez 水郷異聞 (すいごういぶん) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 516 caractères · 36 écrans

Aozora Bunko

「そんなことがあるものでございますか、今日の聴衆という聴衆は、先生のお話に感動して、涙ぐましい眼をして聞いておりましたわ」

「だめです、まだこれから本を読まなくては、もっとも、これからと云っても、もう年が往ってますから」

「失礼ですが、お幾歳でいらっしゃいます」

「幾歳に見えます」

「さあ、そうですね」女は黒い眼でじっと正面に省三の顔を見つめたが、「三十二三でいらっしゃいますか」

「そいつはおごらなくちゃなりませんね、六ですよ」

「三十六、そんなには、どうしても見えませんわ」

「あなたはお幾歳です」

「私、幾歳に見えます」

「さあ、三ですか、四にはまだなりますまいね」

「なりますよ、四ですよ、やっぱり先生のお眼はちがっておりませんわ」

「お子さんはおありですか」

「小供はありません、一度結婚したことがありますが、小供は出来ませんでした」

省三はその女が事情があるにせよ、独身であると云うことを聞いて心にゆとりが出来た。彼は女が二度目についでくれたコップを持った。

「それでは、目下はお一人ですか」

「そうでございますわ、こんなお婆さんになっては、何人もかまってくださる方がありませんから、一人で気ままに暮しておりますわ」