Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
すいごういぶん
水郷異聞
田中 貢太郎
Lisez 水郷異聞 (すいごういぶん) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 516 caractères · 36 écrans
※(ローマ数字4、1-13-24)
女はこう云って惚れ惚れする声を出して笑った。
※(ローマ数字4、1-13-24)
省三は眼が覚めたように四辺を見まわした。青みがかった燈の燭った室で己は黒檀の卓を前にして坐り、その左側に女が匂のあるような笑顔をしていた。
「私は、どうしてここへ来たのでしょう」
省三はボートの中で鯉の群と死んだような鯉の浮いて来たことを見ている記憶はあるが、舟からあがったことも、路の上を歩いたことも、その家の中へ入って来たことも、どう云うものかすこしも判らなかった。
「私といっしょにずんずんお歩きになりましたよ、よく夜なんか、知らないところへまいりますと、狐につままれたようにぼうとなるものでございますわ、ほんとうに失礼いたしました、こんな河獺の住居のような処へお出でを願いまして」
「どういたしまして、静な、理想的なお住居じゃございませんか」
省三はその家の位置が判ったような気になっていた。
「これから寒くなりますと、締っきりにしなくてはなりませんが、まだ今は見晴しがよろしゅうございますわ」
女は起って往って省三から正面になった障子を開けた。障子の外は小さな廊下になってそれに欄干がついていたが、その欄干の前には月にぼかされた湖の水が漂渺としていた。