Classiques japonais avec furigana
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こはんていじけん
湖畔亭事件
江戸川 乱歩
Lisez 湖畔亭事件 (こはんていじけん) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 335 caractères · 137 écrans
十四
十四
善後の処置は、この家の主人である私が、どうともするから、あなた方は一応部屋に引取ってくれ、そして、余り騒がない様にしてくれと、主人はあくまで隠蔽主義でありました。河野と私とは、邪魔者扱いにされてまで、この事件に容喙することもありませんので、兎も角も私の部屋まで引上げました。
私としては、何よりも先ず、例の覗き眼鏡の装置が心配でした。といって昼日中、それを取りはずすことは出来ません。
「ナニ、ここからでも、彼等が何をしているか、よく見えますよ」
私の気も知らないで、河野はかぶせてあった外套を取って、又しても鏡を覗いているのです。
「何というすばらしい仕掛けでしょう、ホラ、御覧なさい。主人の仏頂面が大きく写っていますよ」
仕方がないので、私もそこを覗いて見ますと、成程、鏡の中では、太っちょの主人の半顔が、厚い唇を動かして、今何かいっている所でした。それが殆ど鏡の三分の一程の大きさに拡大されて写っているのです。
先にもいった通り、覗き眼鏡で見る景色は、丁度水中に潜って目を開いた世界の様に、異様に淀んで、いうにいわれぬ凄味を添えているのです。時が時でもあり、ゆうべの恐しい記憶がまだ去らぬ私には、そこに写っているかったいの様な主人の顔から、いきなりタラタラと血が流れそうな気さえして、殆ど見るに耐えないのでありまし