Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たざきそううんとそのこ

田崎草雲とその子

吉川 英治

Lisez 田崎草雲とその子 (たざきそううんとそのこ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 568 caractères · 40 écrans

Aozora Bunko

ほそぼそと燈る深夜の灯かげに、無性髯の伸びた彼の顔は、芸術の鬼そのものである。ふいに、そういう時の彼の筆の軸を切ったら、彼の血が迸しるにちがいない。

だが、そうして描いた画が、金に代ることは、まだ四十五の草雲にはなかった。――尤も、米を得るべく、遊歴もやり、大道に凧の絵を描いて売ったこともあるが、門口から、画の依頼者として、訪れてくる者は、絶無だった。

『よく、私たちは生きてきた』

と、妻女のお菊は、つくづく思う。

まだちッとも、先に光の見出せない二十五年の真っ暗な行路に、彼女も、少しつかれが見えた。大道で、良人が凧を売れば、共に顔をさらして糸目をつけた彼女。草雲が、いつ出かけても、酔って帰っても、嫌な顔一つ見せたことのない彼女。また、格太郎にはわけてやさしく、良人と子を飢え死にさせずに、ここまで辿って来た彼女。

『もし、自分にこの妻がなかったら……』

と、時には、草雲の眼にも、神の如く見えたお菊も、女である。近頃は、精も根も、衰えたように、痩せが目についてきた。

そういう所へ――実にそういう所へだった。

或日、ひとりの画の依頼者が来て、

『この絹地へ、秋の七草を描いて頂きたいのですが』