Classiques japonais avec furigana
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いなかきょうし
田舎教師 他一編
田山 花袋
Lisez 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) de 田山 花袋 (たやまかたい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 156 097 caractères · 312 écrans
秩父の雲の明色の多いのに引きかえて、日光の雲は暗色が多かった、かれは青田を越えて、向こうの榛の並木のあたりまで行った。野良の仕事を終わって帰る百姓は、いつも白地の単衣を着て頭の髪を長くした成願寺の教員さんが手帳を持ちながらぶらぶら歩いて行くのに邂逅して挨拶をした。時には田の畔にたたずんで何かしきりに手帳に書きつけているのを見たこともあった。清三の手帳には日付と時刻とその時々に起こったさまざまの雲の状態と色彩と、時につれて変化して行く暮雲のさまとがだんだんくわしく記された。
「平原の雲の研究」という文をかれは書き始めた。
彼岸の中日には、その原稿がもうたいていできかかっていた。その日は本堂の如来様にはめずらしく蝋燭がともされて、和尚さんが朝のうち一時間ほど、紫の衣に錦襴の袈裟をかけて読経をした。庭の金木犀は風につれてなつかしい匂いを古びた寺の室に送る。参詣者は朝からやってきて、駒下駄の音がカラコロと長い鋪石道に聞こえた。墓に詣ずる人々は、まず本堂に上がって如来様を拝み、庫裡に回って、そこに出してある火鉢で線香に火をつけ、草の茂った井戸から水を汲んで、手桶を下げて墓へ行った。