Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しゅうふうふき
秋風不帰
山本 周五郎
Lisez 秋風不帰 (しゅうふうふき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 593 caractères · 28 écrans
人はそれぞれ己の運を背負っている。切り抜けられる運と、どうしても切り抜けられぬ運がある、……狩谷、貴公は新しい運を切り拓くのだ、生きろ」
「生きる!」
「町の始末は引受ける、手配の廻らぬうちに立退け、拙者もおっつけ江戸へ出る、また会おうぞ」
雨を浴びながら、二人はひたと眼を見交わした。……幻聴である。その短い沈黙のなかで夏雄は、六郎左衛門の「鉢の木」を謡う声をまざまざと聴いたように思った。
夜が明けかかっていた。
谿谷に沿って走る桟道は、濃霧に濡れている。杉の巨木も濡れている。頭上の空だけは高く高く夜明けの光を含んでいるが前後左右に渦巻く濃霧で、乳色の壁のように閉ざされている。
「……大丈夫か、歩けるか」
「はい、わたくしは大丈夫でございます」
お高は元気に微笑した。垂れかかる後れ毛に、霧の微粒が美しく珠を綴っている、……黒い大きな眸子は、新しい旅に出発する幸福で耀いていた。
「道はまだ遠く、もっと嶮しい。辛いこと、苦しいことも数限りなくあるぞ」
「若さまのお供なら、どんな苦しさでも……」
「よし、その気持を忘れるな」
夏雄は頷いて、頭をめぐらした。
故郷の山河は、濃霧の彼方に去った。