Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるゆうかくでのできごと

空にむかひて

若杉 鳥子

Lisez 空にむかひて (あるゆうかくでのできごと) de 若杉 鳥子 (わかすぎとりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 21 677 caractères · 46 écrans

Aozora Bunko

ある遊郭での出来事

1 大泥棒の客

1 大泥棒の客

ある晩、F楼の亭主が隣家のH楼の電話を借りにいった。

Fにも電話があるのに自分の処へ借りに来たものだから、H楼の亭主は何事かと思って、

『お宅の電話は、どうかしましたか?』

と訊いた。

『ナニ、警察へちょっと……野郎感づくと遁がしちまうから……』

F楼の亭主はそういいながら電話室へ入ると、じきに電話を切って出て来たが、馴れ切った中にも、流石に異常な緊張を見せてそそくさと出ていった。

それからすぐにH楼の亭主も、帯をぐっと締めなおして仲間の義理からF楼の帳場へ出掛けていった。

すると間もなく警察から私服の刑事がドヤドヤF楼の店へ入っていった。

刑事の一人が二階へ上がると、他の二人は階段の下で待っていた。

今にも階上で格闘が始まり、凄い物音の起こるであろう事を予期して、階下では皆身構えて固唾を嚥んでいた。

およそ十分許りも静かに時が経過した。

すると張りあいがない、ノッシ、ノッシと階段を下りて来た大男は、観念してるもののように平静に階下の刑事と面接した。

男の皮膚は赤銅色をして大きい目鼻は怪鳥のような凄みを持った、馬鹿にのっぽな、カインの末裔を思わせるような人間だった。