Classiques japonais avec furigana
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かまどのなかのかお
竈の中の顔
田中 貢太郎
Lisez 竈の中の顔 (かまどのなかのかお) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 7 439 caractères · 15 écrans
僧は厭な顔をして云った。三左衛門は僧が己が往くと云った時に断った詞を思いだして、来なければ良かったと思った。
「いや、わざわざ参ったのではござらんが、今日は、貴殿が見えられないし、退屈でたまらないから、若党を伴れて、眺望の佳い処へ参ろうと思い、この下の谷の処まで来るとこの庵が眼に注き、貴殿のことを思いだして、ついこうした処におられるかと思って、立ち寄った次第だ」
「じゃ、まあ、まあ、おあがりくだされ、お茶でもさしあげよう」
僧が引込んだので三左衛門はそこへ草履を脱いであがった。庵の内には藁を敷いて見附に仏間を設けてあったが、それは扉を締めてあった。左側には二つの竈があって、それには茶釜と鍋が懸けてあった。
竈の前へ往って僧が坐ったので、三左衛門もそこへ往って僧と向きあって坐った。
「どうもお勤めの邪魔をして気の毒じゃ、すぐお暇をいたそう」
三左衛門は僧の人の来るのを嫌うのは、勤行の邪魔になるから嫌うのだと思った。
「いや、勤めの邪魔と云うことはないが、すこし理由があってな、まあ、お茶でも沸かそう」
僧は厳い親しみのない眼をしていた。
「お茶は沸かさなくても、別に飲みたくもないから、よろしゅうござる」