Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
「もんしょう」の「わたし」
「紋章」の「私」
豊島 与志雄
Lisez 「紋章」の「私」 (「もんしょう」の「わたし」) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 201 caractères · 9 écrans
横光利一氏の「紋章」のなかには、「私」という言葉で現わされてる一人の文学者が出てくる。彼は、主要な人物たる雁金八郎と山下久内とに、共に交誼があり、山下敦子や綾部初子や杉生善作とは顔見知りであり、雁金の発明実験所や山下家の茶会や其他いろいろのところに、出入する。そしていろいろの事物やいろいろの説明が、彼によって述べられる。が彼は作中の事件には何の関係交渉もなくただ傍観者にすぎない。――この「私」は、誰でもよいと共にまた作者自身でもある。
こういう「私」という人物を出して、傍観者たり説明者たり報告者たる地位におき、それを叙述の一便法とする方法は、屡々用いられることである。この場合、「私」は大抵、作中の人物や事件から独立した一人の人間で、その独自の存在がはっきりすればするほど、益々作品そのものとは無関係な地位になる、そういう種類のものなのである。例えば、谷崎潤一郎氏の「春琴抄」の中で春琴の墓を訪う「私」がそれである。
ところで、「紋章」のなかの「私」は、そういうなまやさしいものではない。最初に述べたような「私」、または、雁金が敦子にあって我を忘れた行為をするところに立会った「私」