Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ささめゆき

細雪

谷崎 潤一郎

Lisez 細雪 (ささめゆき) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 194 628 caractères · 371 écrans

Aozora Bunko

「板倉さん」

と、幸子が云った。

「えらい目エに遭やはったわなあ。あんた見たいな人がそない痛い痛い云やはるのんやったら、………」

そう云いかけて、ハンカチで鼻を摘んだ。

「兄さん、蘆屋の御寮人様でっせ」

と、妹も寄って来て云ったが、

「まあ、そない云わんと置きなさい」

と、幸子は制して、

「痛いのんは左の脚や云うことやないか」

「そうやねん。―――右の耳を手術したよってに、右を上にして臥んならんのんで、痛い方の脚が下になるねん」

「えらい都合が悪いねんなあ」

「そんで、なおのこと痛がるねんわ」

病人の肌理の粗い額には、痛苦を怺える脂汗が一杯に滲み出ていた。さっきから蠅が一匹、ときどき病人の顔に来てとまるのを、妙子がしゃべりながら手で追い払ってやっていたが、突然、病人が「痛い痛い」と云うのを止めて、

「おしっこや」

と云った。

「お母さん、兄さんおしっこ」

妹が云うと、向うの壁に凭りかかっていた母親が立って来て、

「御免下さりませ」

と、小腰を屈め、寝台の下に新聞紙に包んであった溲瓶を取って、病人の毛布の間に挿し入れた。

「それ、又えらいで」

母親がそう云う途端に、

「痛いッ、―――」

と、病人は、今迄の譫語のような調子とは全然違う狂気じみた声を発した。