Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じゆうじん

自由人

豊島 与志雄

Lisez 自由人 (じゆうじん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 030 caractères · 139 écrans

Aozora Bunko

ところが、敗戦当時から今日に至るまで、往々にして見かけられるニヒリズムは、これと全く反対の方向に向いてるものだと思いますが、如何でしょうか。」

田島はもう直接に菅原へ話しかけてるのではなかったが、それにしても、菅原はそれを完全に黙殺して、平然と煙草をふかし酒を飲んでいた。それがまた異様な印象を与えた。――然し、酒は或る場合には謂わばニヒルなもので、酔った一座は議論を素通りして、次の俗謡に移っていったのである。

恐らく、その時のそういうことが起因で、菅原洋平に無籍者という影の渾名がついたのであろう。然しそれには、なにか秘密な匂いが多分にこもっていた。――これに反して、支那料理店紹興での同じ渾名は、ふしぎに、一種の親愛の調子で言われていた。

不忍池のまわりを逍遥しながら、北村庄作は、右のことを頭の中でこね返していた。あの時の菅原の言葉、平明な調子の底にさしている深い憂鬱の影など、へんに気にかかってくるのだった。それから、彼の旅行の遅延、天元社の不正事件、紹興の主人との不明な関係、いろいろなことが気にかかってきた。然し、元来が磊落な性質の北村は、それらの気懸りを一方では楽しむ気持もあった。