Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あぢさい

花火・来訪者 他十一篇

永井 荷風

Lisez 花火・来訪者 他十一篇 (あぢさい) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 52 046 caractères · 104 écrans

Aozora Bunko

二十五、六の田舎者らしい妙に無遠慮な女中を幸い、慶三は先ず芸者二人ばかり掛けさせて置いて、それとなしに早速様子をきき始めた。

「隣の家は代が変ったようだね。」

「まアよく御存じだわね。」

「この辺じゃ始終遊んでるからさ。どうだい、流行るようかね、隣の家は。」

「わるかないようですよ。」

「内儀さんはどんな人だい。別嬪か。」

「何でも何処かの芸者衆だったって云う話ですよ。」

「それじゃお妾で商売しているんだね。」

二人かけた芸者の中の一人が先へ来た。慶三はこれにもいろいろと遠廻しに質問を試みたが、別にこれと云って要領を得た話は聞かれなかった。その中に後れて這入って来た芸者が一座の話の横合から、

「あ、お隣の待合さん?」とさも何か知っていそうな調子で、急に少し声をひそめ、「姐さん。お隣じゃ、あの女将さんがコレなんだとさ。」

「あら、まさか。」

「いいえ、そうなんだとさ。だって家の玉ちゃんが現在見たんだって云うんだもの。」

「まアそうかい。」

後から来た芸者は盃を舐めながら、つい三、四日前の晩の事、朋輩の玉ちゃんというのが千代香へ呼ばれて行った。お客は二人連だったそうで、それから彼方此方へと最う一人芸者を掛けて見たらしかったが、何しろもう時間が一時過ぎているので、とうとう出来ず仕舞いになって、玉ちゃんだけ一人のお客へ出て、夜中に