Classiques japonais avec furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lisez 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) de 小山 清 (こやまきよし) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 239 741 caractères · 486 écrans
見ると一円に対する釣銭の額だった。私はミカン水の価しか金を支払わなかったのだが。私のポケットにはそれだけの金しかなかったのだが。私はびっくりして親爺の顔を覗いたが、親爺はむっつりした顔をしてそっぽを向いていた。私は黙ってそこを離れた。私には親爺が思い違いをしたというよりは、私を憫んで金を呉れたとしか思えなかった。六区をぶらつきながらも、その親爺の彫りの深い一癖ありげな面魂が、しばらくは目のあたりを去らなかった。私はその日暮しの朝夕に身も心も困憊しきっていたのだ。その日私は一日生きのびた。しばらくして私はある新聞店に入って配達夫になったが、そこでようやく尻を落ち着けることができた。その新聞店は彼女のいる廓の裏町にあった。
年が明けた正月の休みの日に、私はふとその気になってK楼へ行ってみた。まだいる筈だった。あの番頭さんがいた。番頭さんも朴歯のお客のことは覚えていた。念のために陳列の写真を覗いてみたら、すぐ見つかった。彼女の写真はお職から二枚目のところに並べてあった。いいおいらんになっているわけだった。私の顔を見ると彼女は、まあ、と云った。
「どうしていたの?」