Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あざみ

薊

山本 周五郎

Lisez 薊 (あざみ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 800 caractères · 32 écrans

Aozora Bunko

本陣の鍋屋三右衛門が定宿で、銕太郎も少年時代から宿の者たちを知っていたが、泊って三日めの夜、藩主から慰労の酒肴が出、目見以上の者が集まって酒宴をするうちに、岡野弥三郎と口論したあげく、おうたという、宿の娘の世話になった。

口論のもとはゆきをのことであった。岡野は初めから銕太郎に諄くからみ、前に坐ったまま動かずに酒をしいた。彼はほどよく受流していたつもりであるが、側用人という気ぼねの折れる勤めと、旅の疲れが重なっていたからであろう、知らぬまに量をすごして、したたかに酔った。そのとき岡野が妻のことを話しかけ、へんに皮肉な調子で、自分がいい側女を捜そうかと云った。

「側女を捜す」と彼は岡野を見た、「それはどういうことだ」

「跡取りですよ」と岡野は云った、「花としてはすばらしくとも、実の生らない花がありますからね」

銕太郎は顔をそむけた。

「加川夫人には昔から薊の花という仇名があったそうです」と岡野は続けた、「これも妹や妹の友達の話なんですがね、夫人は乙女のころから薊の花がお好きで、着物や帯などにも染めさせていた、それがまたよく似あうし、夫人御自身の印象が、じつに薊の花そっくりだというのです」