Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みちくさ
道草
Lisez 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 812 caractères · 293 écrans
彼は退屈のうちに細いながらかなり鋭どい緊張を感じた。そのせいか、島田の自分を見る眼が、さっき擦硝子の蓋を通して油煙に燻ぶった洋燈の灯を眺めていた時とは全く変っていた。
「隙があったら飛び込もう」
落ち込んだ彼の眼は鈍いくせに明らかにこの意味を物語っていた。自然健三はそれに抵抗して身構えなければならなくなった。しかし時によると、その身構えをさらりと投げ出して、飢えたような相手の眼に、落付を与えて遣りたくなる場合もあった。
その時突然奥の間で細君の唸るような声がした。健三の神経はこの声に対して普通の人以上の敏感を有っていた。彼はすぐ耳を峙だてた。
「誰か病気ですか」と島田が訊いた。
「ええ妻が少し」
「そうですか、それはいけませんね。どこが悪いんです」
島田はまだ細君の顔を見た事がなかった。何時どこから嫁に来た女かさえ知らないらしかった。従って彼の言葉にはただ挨拶があるだけであった。健三もこの人から自分の妻に対する同情を求めようとは思っていなかった。
「近頃は時候が悪いから、能く気を付けないといけませんね」
子供は疾うに寐付いた後なので奥は寂としていた。下女は一番懸け離れた台所の傍の三畳にいるらしかった。