Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
みちくさ
道草
Lisez 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 812 caractères · 293 écrans
五十七
健三は彼女の誤解を正してやるのさえ面倒になった。
二人の間に感情の行違でもある時は、これだけの会話すら交換されなかった。彼は島田の後影を見送ったまま黙ってすぐ書斎へ入った。そこで書物も読まず筆も執らずただ凝と坐っていた。細君の方でも、家庭と切り離されたようなこの孤独な人に何時までも構う気色を見せなかった。夫が自分の勝手で座敷牢へ入っているのだから仕方がない位に考えて、まるで取り合ずにいた。
五十七
健三の心は紙屑を丸めたようにくしゃくしゃした。時によると肝癪の電流を何かの機会に応じて外へ洩らさなければ苦しくって居堪まれなくなった。彼は子供が母に強請って買ってもらった草花の鉢などを、無意味に縁側から下へ蹴飛ばして見たりした。赤ちゃけた素焼の鉢が彼の思い通りにがらがらと破るのさえ彼には多少の満足になった。けれども残酷たらしく摧かれたその花と茎の憐れな姿を見るや否や、彼はすぐまた一種の果敢ない気分に打ち勝たれた。何にも知らない我子の、嬉しがっている美しい慰みを、無慈悲に破壊したのは、彼らの父であるという自覚は、なおさら彼を悲しくした。彼は半ば自分の行為を悔いた。