Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

みちくさ

道草

夏目 漱石

Lisez 道草 (みちくさ) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 145 812 caractères · 293 écrans

Aozora Bunko

「会うから上げろ」

彼は島田の来た時と同じ挨拶をした。細君は重苦しそうに身を起して奥へ立った。

座敷へ出た時、彼は粗末な衣服を身に纏って、丸まっちく坐っている一人の婆さんを見た。彼の心で想像していた御常とは全く変っているその質朴な風采が、島田よりも遥かに強く彼を驚ろかした。

彼女の態度も島田に比べるとむしろ反対であった。彼女はまるで身分の懸隔でもある人の前へ出たような様子で、鄭寧に頭を下げた。言葉遣も慇懃を極めたものであった。

健三は小供の時分能く聞かされた彼女の生家の話を思い出した。田舎にあったその住居も庭園も、彼女の叙述によると、善を尽し美を尽した立派なものであった。床の下を水が縦横に流れているという特色が、彼女の何時でも繰り返す重要な点であった。南天の柱――そういう言葉もまだ健三の耳に残っていた。しかし小さい健三はその宏大な屋敷がどこの田舎にあるのかまるで知らなかった。それから一度も其所へ連れて行かれた覚がなかった。彼女自身も、健三の知っている限り、一度も自分の生れたその大きな家へ帰った事がなかった。彼女の性格を朧気ながら見抜くように、彼の批評眼がだんだん肥えて来た時、彼はそれもまた彼女の空想から出る例の法螺ではないかと考え出した。