Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しゅうぶん

醜聞

山本 周五郎

Lisez 醜聞 (しゅうぶん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 900 caractères · 46 écrans

Aozora Bunko

病死と公表し、葬礼までおこなった当のさくらが、乞食になってあらわれたのだ。さくらになにか企みがあるとしても、これほど偶然に条件が揃うというのは、人間の意志のちからではなく、やはりもっと大きな、なにか眼に見えない力の支配によるものではないか。功兵衛はそう思って、背筋が寒くなるような感じにおそわれた。

「もしもそうなら、こんどは事をごまかしてはいけない」と彼は呟いた、「はっきりと正面からぶっつかってやろう」

そのときから、功兵衛の心には変化がおこったのだ。彼は栗饅頭を喰べたときの、苅田壮平のへつらい笑いや、哀願するような卑屈な表情が眼にうかぶと、それがさくらと共謀しているかのように思われ、烈しい個人的な憎悪さえ感じるようになった。

初めて雪が降った日の夕方、功兵衛はまたさくらと会った。雪のおそい年で、満願寺の桜に返り咲きの花がひらいたという、絶えてないことなので、来年の凶作の予兆か、それとも異常な災害でも起こるのではないか。そんな噂が城下町から農村のほうまで弘まっていた。城中でもそれが茶話に出、丙午の大火を思いだしたのだろう、町奉行では火の用心を例年よりきびしくするようにと、町人まちの五カ所の辻に高札を立てたりした。