Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きんろう
金狼
久生 十蘭
Lisez 金狼 (きんろう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 89 438 caractères · 179 écrans
ひどい眠気が襲ってきた。西貝は財布をだして、いった。
「もう帰ろう……」
「……僕、……僕にやらしてくれ、……いくら……」
がくがく、と卓のほうへのめりながら、久我はポケットへ手をつっこんで、裸の紙幣をつかみだした。
丁度その頃、雨田葵は、文園アパートの貧しい寝床のなかで眼をさます。
葵は苦しい夢を見ていた。どんな夢であったか、思いだすことは出来なかったが、多分それは、自分の過去の、酸苦なある一日の出来ごとらしかった。……彼女の過去には、ここではふれぬことにしよう。
……彼女の過去は陰鬱な雲にとざされ、嗟嘆の声にみちみちてはいたが、しかし、彼女がはじめて久我千秋に逢ったときは、東京でのある悪夢のような一日を除くほかは、やや幸福であった(と思える)十二三歳の頃の彼女と、すこしも変ってはいなかった。
彼女は横顔には、いまもなおその頃の、童女のおもかげをのこし、こころも肉体も、そのころのままに無垢であった。葵の愛嬌のいい、明るい顔つきは、ほとんどすべての男性に好かれた。〈シネラリヤ〉で働くようになってからも、すでに五六人の男友が出来た。そのうちの三人は結婚を申込んだ。