Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 671 caractères · 252 écrans
四
「すると、下手人は誰です、親分。お萩の殺された晩は、亭主の造酒助は町内の衆と旅に出て、間違いもなく江戸には居ませんよ」
八五郎は躍起となって抗議を申込むのです。
「困ったことに、其処まではまだわからないよ。でも、追々わかるだろう」
四
「桐の菓子箱のこわれがあれば」
平次は今はそれが頼みのようでした。
「家中を捜して見ましょうか」
「いや、無駄だろう。大川はすぐ傍を流している、脇差は沈むだろうし、桐の菓子箱のこわれは、潮が海まで持って行ってくれるだろう」
「でも、先刻帳場を覗いて見ましたが、汚い硯の中に、何日前に磨ったか、腐って臭くなった磨りかけの墨がうんと溜って居ましたよ」
「それも一応証拠にはなるだろうが、誰がその墨を使ったかということになると、大した動きの取れない証拠になりそうもないぜ」
平次はことごとく悲観的でした。心の中には、かなり明瞭に、下手人の姿を思い浮かべて居る様子ですが、それを縛るほどの、決定的な証拠は一つも無かったのです。
「でもね、親分。桐の菓子の箱なんてものは、こちとらの家や、貧乏臭い浪人の巣にはありませんよ。此辺なら先ず角の酒屋か、巴屋の寮」