Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 671 caractères · 252 écrans
「今から十年も前――私はまだ六つか七つの時でした。――うろ覚えに私も覚えて居ります。私の親父が嫌な顔をするのも構わず、乞食のような男がやって来て、何時の間にやら、私の家で一番威張る人になってしまいました。それがあの伯父の岩太郎なんです」
「――」
「子供心に私は、――親父が時々、あの人に、ひどく脅かされて居るのを見て居りました。親父が死んでしまった今となっては、親分さんに申上げても構わないでしょうが、何んでも私の父親は、故郷の出雲で、若気の過ちで人を害め、江戸へ逃げて来て名前まで変え、同じ国から出た出雲屋に婿入し、十年ばかりのうちに、すっかり身上を殖して、江戸の鎌倉町で、押しも押されもせぬ暖簾に仕あげたのだということでした。其処へ出雲の国から訪ねて来た赤の他人の岩太郎が、父親の旧悪を並べ立てて、兄のような顔をして我儘一杯に振舞ったことは、子供心の私にもよくわかって居ました」
「――」
平次は黙って先を促しました。事件は思いの外に深さと根強さを持って居そうです。
「暫く経つと、伯父は、自分の弟だという、岩三郎まで故郷から呼寄せ、二人で出雲屋の身上をかき回しましたが、古い番頭も皆んな追い出され、親類達も寄りつかなくなって、伯父の我儘を押え手もなくなってしまいました。