Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 671 caractères · 252 écrans
水を開けっちまえ」
「あらっ、水がかかるじゃありませんか。そんなところで盃洗なんか振り回して」
芸子共の頭越しに、盃洗の水を、屋根の上へ捨てると、奇月宗匠その中へ徳利で三本まで、なみなみと酒をつがせてしまいました。
「止せよ、宗匠。そんな乱暴なことを。酒は夜っぴて呑んでも構わないが、大きいのでやると、又潰れるから、後が大変だ」
主人岩太郎はおし止めましたが、
「大丈夫、御覧の通り、一と息に呑んでお目にかける。――ゲープ、驚くな、女共」
奇月宗匠はとうとう、盃洗一パイを見事に傾けて、さすがに酔が回ったらしく、半分は這うようにして、障子の外へフラフラと出て行きました。
外は三尺の縁側、華奢な手摺。それに凭れると、小梅の百姓地の田圃を見晴らして、遅い月が、木立の上へぼんやり顔を出します。
部屋の中は、まさに乱痴気騒ぎの絶頂でした。人間という動物に、アルコールを呑ませると、よくもこう騒がれるものかと思うほどの、それは動物実験的な混乱の中に、
「あッ、あれは何んか知ら」
「変な音ね」
僅かに正気な芸子が二人、囁き合って居るのも煮えこぼれる騒ぎを鎮める役には立ちません。