Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ずいひつ しほんたいへいき

随筆 私本太平記

吉川 英治

Lisez 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 56 947 caractères · 114 écrans

Aozora Bunko

私は先年、背なかの真ン中に癰というものを病んだ。初めは豆ツブほどな腫れ物にすぎなかった。しかしそれは命トリの重症だぞといわれたとおり以後二ヵ月昼夜のた打ちまわった。伊勢湾颱風の被災地は私には“日本の癰”におもえてならない。そして戦後日本のまだ上ッつらな健康でしかない民主政体という体が、よくこれに耐えるかどうかの試練であろうとおもっている。

こんなことはいっても、私には能はない。ただ私は、政府だけを責めているのは一そうこの重患を重患にするだけだと憂い出したのみである。作家の私はそんな憂いも退けて小説を書くべきだろう。しかたがないから私は明日から書く小説の稿料を当分のあいだ現地の救済資金の内にでも加えてもらおう。そして現地の罹災者諸兄姉の甦生を祈りながら毎朝机にむかったら、いくらか憂いもかろく原稿紙に向えようかと思っている。

もひとつ言いたいのは、昨今、中京方面にばかりつい気をとられているが、ほとんど同程度の颱風被災者がまだあった。この八月の七号颱風にやられた山間地方の被災農民たちも、近づく冬におびえていように、それはもうマスコミからはいつか忘れ去られている。