Classiques japonais avec furigana
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ずいひつ しほんたいへいき
随筆 私本太平記
吉川 英治
Lisez 随筆 私本太平記 (ずいひつ しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 56 947 caractères · 114 écrans
巻外雑筆 ――史実と非史性と、作中人物などについて――
尊氏としては、そもそも、本意でない敵を敵とした気もしたであろう。勝つには勝っても相手をスリ代えられたようなものである。義貞すら逃げたのだから、正成が死ぬまいと思えばいくらでも落ちる道はあったはずだ。それに見るも、正成が大義に殉じたことだけは明らかだ。古来、いろんなあげつらいもあるが、これだけはうごかしがたい事実である。牢固としてうごかしがたい。
ただその“七生報国”の末期のことばなどは、それそのままではなかったろう。そのほか多分に私の創意で書いたところが多い。正成の死の一条なども、ひとえに私の「私本太平記」にすぎないことを断っておく。(三六・五・二九)
巻外雑筆
――史実と非史性と、作中人物などについて――
第五巻の校訂をいま見終った。
どうも私は、印刷所泣かせというか、校訂癖の持ち主らしい。毎日の新聞原稿でも、その一回一回ゲラ刷り(下刷り)を取り寄せて、せっかく組ミの出来ている版へまっ黒なほど筆を入れる。そして単行本とするさいにもまた訂筆する癖がある。だから往々、新聞面と本のうえでは、随所にちがったところを生じてくるが、大意をかえているわけではない。