Classiques japonais avec furigana
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ゆきのよる
雪の夜
小林 多喜二
Lisez 雪の夜 (ゆきのよる) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 967 caractères · 31 écrans
寒かった、龍介はテーブルを火鉢の側にもってきて、それに腰をかけて、火鉢の端に足をたてた。
「行儀がわるい」女は下から龍介を見上げた。
「寒いんだよ。それより、君はこれを敷け」彼は女に座布団を押してやった。が、女は「いいの」と言って、押しかえしてよこした。
「――冷えるぜ」
「どうせねえ」そして、すすめるとまた「いいの」と言った。
「変だな」彼はそう言って、むりに女に敷かせた。
「どうして兄さん敷かないの」座ってからも女はちょっと落着かないように、モジモジした。それから「じゃ、敷くわねえ」と言った。
女は酒をつぐと、
「ハイ」と彼に言った。
「俺は飲まないんだ。君に飲ませるよ」
「どうして?」
「飲みたくないんだ」彼は女の手に盃を持たしてやった。
「ソお」女は今度はすぐ飲んだ。
龍介は注いでやった。
「本当、いいの?」
「うん」
女はちょっと笑顔をしてのんだ。彼は銚子を下に置かずに注いでやった。女は飲むたびに、「本当?」ときいた。
「この章魚も、さかなも食っていいんだ」
彼は割箸をわって、皿の上に置いた。
「いいの?――何んだか……」
女は少し顔を赤くして、チラッチラッと二、三度龍介を見上げると、「どうして、兄さん……」