Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 262 100 caractères · 523 écrans
「オオ、縊ろうとしていたのじゃな。ばかな奴じゃ! ばかな奴じゃ」と半斎は、木の枝から下がっていたしごきを、腹立たしそうにスルッとはずして、二人が坐っている熊笹の前へきた。
「お助け下さったのでござりましょう。どうもありがとう存じました。やれやれとんだ世話をやかす奴、実はちょっと前から、大阪の親戚の者で遊びにまいっていたのでございますが、そのうちに、ちと持病がありましてな、カーッと血を吐きましたもんで、それ以来、鬱々と焦れきって、まあ半狂人というありさま。今日もソロリといつの間にか抜けだしまして、あまり姿が見えませんので騒ぎだしたわけでございます。何ともはや、お礼の言葉もございません」
言い訳やら礼やらいって、半斎は召使たちと一緒に、泣きじゃくるお米を騙しすかしして連れて行った。
その人たちが林の細道からダラダラと竹林の中へ下がってゆくのを見送って、お綱は、ひょっと、こう口の裡で呟いた。
「あんな縹緻で可哀そうに……病を苦にするばかりでなく、あの女もどこかで、月夜の風邪をひいたのじゃないかしら?」
その時――それは、鵯の啼く音に似たような、哀れに淋しい尺八の調べが、林の静寂に低くふるえて、どこからともなく聞こえてきた。