Classiques japonais avec furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 262 100 caractères · 523 écrans
抜いてみると、目づもりは二尺二、三寸、片手斬りに頃あいな肉づきである。刃紋は朧夜の雲に似る五の目乱れ、星の青さを吸って散らすかとばかりかがやかしい、鵜首作りの鋩子に特徴のある太刀の相は――まず相州系、新藤五国光とみてまちがいはない。
「ウーム、こう見ていると、背骨の髄まで凍えてきそうだ。こんな名刀をさしていた人の、若い姿が偲われるなあ」
抜いてあるまま、その鞘と柄とを、お綱の手へ返すと、お綱もそれをうけてややしばらく、深味のある錵の色に、ジッと心を吸いこませたが、やがてわれを忘れかけたように、
「阿波へ行けば――」
突然に、こう独りで強く叫んだ。
「お目にかかることができる! 血を分けた父親に会われる! オオ私はどうしても、剣山の間者牢へ行かなければならない」
「よし!」
と、その独りごとへうなずいて、万吉も、ここに固く意を決したらしく、
「一緒に行こう! 阿波へ」とキッパリ言いきった。
「えッ、じゃあ、承知してくれますかえ?」
「こう分ってみる上は、俺が止めだてをするいわれがねえ。夜明けを待ってすぐに立とう! 弦之丞様のあとを慕って、木曾街道から上方路へ――」