Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lisez 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 262 100 caractères · 523 écrans

Aozora Bunko

だが――あまりよく似た音色でもあった。立慶河岸を流していたのを、川長の二階で聞いたあの音色。ほんとにソックリな節廻し、曲もたしかに宗長流の山千禽。

「ああ、どうしたんだえ、この、お綱さんは!」自分の胸を叱ってみても、やッぱりいつかお綱の心は、その人らしく考える。

あの晩、川長の隣り座敷にいた阿波侍が、何かコソコソ諜しあわせて庭手へ出たので、お綱は、見るとしもなく二階から見下ろしていると、たちまち月下に剣の声がおめきだした。そして一人が危うくなる……あっと思っていると、裏木戸から、あの虚無僧が白鷺のように立って、ピタリと対手の阿波侍へ尺八を向けた――その阿波侍の刀の鋭さを見ていたお綱は、やにわに膳の小皿をとって、パッ――と二つ三つ投げつけたのだ。

しかし、お綱はあとで後悔した。

あれは余計なことだった。あの時虚無僧の構えた尺八には、充分な自信と研きぬいた腕の冴えが、素人目にも分るほど光っていた。なんだかはしたないことをしたように気が咎めて、お綱は、侠にも似ず、その時、恥かしい気に責められもした。

そしてしばらく、月を浴びて、ひそひそと話しているその人を、上の手欄から見つめているうちに、お綱は夢ともうつつとも知らない境に、骨の髄まで沁みわたるほどなゾッとする恋慕の寒気にとりつかれた。