Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おみつかんざし
お美津簪
山本 周五郎
Lisez お美津簪 (おみつかんざし) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 158 caractères · 26 écrans
……お美津はまだ、貴様がきっと自分のところへ戻って来ると信じているのだぞ、それなのに――貴様は、貴様は……」
正吉は畳に伏したまま体を弓のように曲げた、ごぼごぼと無気味な音がして、正吉の口からぱっと血潮が迸った。――茂兵衛はさすがにぎょっとした。そして手燭の光で改めて正吉の姿を見直した。余りにも変り果てた相貌、余りにも変り果てた姿だった。
「――正吉!」
「旦那さま、……」
「貴様そんな重い病気なのか」
「罰でございます、天道さまの罰が当ったのでございます。旦那さま、正吉は、こんな姿になりました」
「そんな体でどうしてまた」
「――長崎へ、帰りたかったのです」
正吉は袖で口を拭いながら云った。
「お袋にひと眼会って、死のうと、――二両の旅費が欲しさに、初めて忍び込んだのがこの家……正吉は今夜こそ、初めて、天罰の恐ろしさを、知りました。――お赦し下さいとは、とても申上げられません、どうか旦那さま、正吉をこのまま見逃して下さいまし」
「――――」
「何も仰有らずに、お見逃し下さいまし」
茂兵衛は黙って正吉の横顔を見ていた、――そして暫くすると、用箪笥の方へ立って行って、金包を拵えて戻ってきた。