Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

それから

それから

夏目 漱石

Lisez それから de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 172 794 caractères · 347 écrans

Aozora Bunko

た。

生暖かい風の吹く日であった。曇った天気が何時までも無精に空に引掛って、中々暮れそうにない四時過から家を出て、兄の宅まで電車で行った。青山御所の少し手前まで来ると、電車の左側を父と兄が綱曳で急がして通った。挨拶をする暇もないうちに擦れ違ったから、向うは元より気が付かずに過ぎ去った。代助は次の停留所で下りた。

兄の家の門を這入ると、客間でピヤノの音がした。代助は一寸砂利の上に立ち留ったが、すぐ左へ切れて勝手口の方へ廻った。其所には格子の外に、ヘクターと云う英国産の大きな犬が、大きな口を革紐で縛られて臥ていた。代助の足音を聞くや否や、ヘクターは毛の長い耳を振って、斑な顔を急に上げた。そうして尾を揺かした。

入口の書生部屋を覗き込んで、敷居の上に立ちながら、二言三言愛嬌を云った後、すぐ西洋間の方へ来て、戸を開けると、嫂がピヤノの前に腰を掛けて両手を動かしていた。その傍に縫子が袖の長い着物を着て、例の髪を肩まで掛けて立っていた。代助は縫子の髪を見るたんびに、ブランコに乗った縫子の姿を思い出す。黒い髪と、淡紅色のリボンと、それから黄色い縮緬の帯が、一時に風に吹かれて空に流れる様を、鮮かに頭の中に刻み込んでいる。