Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちくしょうだに

ちくしょう谷

山本 周五郎

Lisez ちくしょう谷 (ちくしょうだに) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 69 788 caractères · 138 écrans

Aozora Bunko

すると、その力を支えきれなかったのだろう、端の支柱が折れ、かけはしの端の板が三枚、殆んど音もなく崩れ落ちた。

男はあっと叫んだ。彼の手から刀が飛び、彼は身をおどらせて、いま隼人が打ち込んだばかりの、新しい支柱にとびつき、両手で辛くもしがみついた。――隼人は相手を見まもった。頭巾がずれて、顔の半分があらわに見える。それは西沢半四郎であった。隼人はじっとその顔をみつめてい、西沢は支柱にしがみついたまま、はっ、はっと激しく喘いでいた。

これはあまりに残酷だ。

隼人はそう思った。

――人間がこんなにもみじめに、敗北した姿を曝すということがあるだろうか。

西沢半四郎がそろそろと首を廻して、隼人のほうを見た。彼の顔は恐怖のため仮面のようになり、両眼は瞳孔がひらいているようであった。西沢の口があいて、歯が見えた。白くなった舌が、力なく唇を舐め、ついで、ひしゃげたような声が聞えた。

「――助けて下さい」西沢は隼人の眼をみつめながら、たどたどしい口ぶりで云った、「お願いです、――助けて下さい」

そのとき隼人の眼の色が変った。西沢を見るときにはいつも、木か石ころでも見るような眼つきをしたが、助けてくれと云う声を聞いたとたんに、あの親のない赤児を見るような、やわらかくあたたかい色に変った。