Classiques japonais avec furigana
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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Lisez とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) de 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 186 729 caractères · 371 écrans
院長の屍骸は、部屋の隅に油紙を敷いて、その上に白布をかぶせて寝かしてあった。博士は無言で直ぐにその側へ寄添うと、屈み込んで白布をとり退けた。そして屍骸の右足をグッと持ちあげると、宇吉へ、
「灯を見せて下さい」
と云った。
顫える手で、宇吉が蝋燭を差出すと、博士は両手の親指で、屍骸の足裏をグイグイと揉みはじめた。揉みはじめたのだがその足裏は、どうしたことかひどく硬くて凹まない。どうやら大きな胼胝らしい。博士は、今度はもう少し足を持ちあげて、その拇指の尖端を灯の前へ捻じ向けるようにした。灯に向けられたその拇指は、だがなんと、大きく脹れあがって、軽石のようにコチコチだ。
途端に宇吉が、蝋燭を落した。
不意にあたりが真暗になった。そしてその真ッ暗な闇の中で、泣くとも喚くとも判ちぬ世にも恐ろしげな宇吉の声が、
「……ゥあああ……そ、それァ、『トントン』の足ですゥ!……」
けれどもその声が止むか止まぬに、もうひとつ別の、松永博士の、鋭い擘くような叫び声が、激しい跫音と共に、闇の中を転ろげるように戸口のほうへつッ走った。
「主任ッ! 直ぐ来て下さいッ!」
続いて廊下で、激しい跫音が入乱れたかと思うと、なにかが引戸へぶつかって、ジャリンとガラスの砕ける音――