Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はたしじょう

はたし状

山本 周五郎

Lisez はたし状 (はたしじょう) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 19 525 caractères · 39 écrans

Aozora Bunko

「今日のしのさんは見違えるようね」

母にもそう見えたのだろう、席を変えるとすぐに、しのを前後から眺めてそう云った。

「ほんとにお美しいわ、ふだん肌理のこまかい肌をしていらっしゃるのね」

「なにしろ身じまいということをしないのですから」

母親の加世が側から答えた、「――妹のほうは小さいじぶんから日に幾たびも髪をいじったり、隠れて紅や白粉を付けたりするんですけれど、この娘はもう叱るように云っても化粧などはしませんの、ですから肌だってもう荒れ放題で」

「そういえばみよさんはお洒落が好きのようね」

母はそう云いながら、脇から手を伸ばしてしのの髪をそっと押えたりした。しのは母親たちの言葉など耳にはいらぬようすで、膝の上に手を重ねたまま俯向いていたが、二度ばかり眼をあげて第二を見、そのたびに唇だけでそっと微笑した。……悲しいような、なにかを訴えるような、感情のこもった微笑であった。第二は眼でそれに答えながら、心のなかでこう呼びかけた。

――とうとう、こうなったね、しの、喜んで呉れるだろうね。

そのあくる夜、つまり出立する前夜のことだったが、親しい友人や同僚たちが「送り祝い」