Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ばちあたり
ばちあたり
山本 周五郎
Lisez ばちあたり de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 391 caractères · 44 écrans
その心配はいまはじまったことではない、いまから十二年まえ、私が郷里の高校を出たあと、東京の学校の医科を卒業した翌年の春、敏夫が中学二年のときにそのことが起こった。
――敏夫は読んだ。
あのとき敏夫が読んだということは確実ではない。私が学校の付属病院から帰ると、彼が私の部屋から出て来たのだ。敏夫は八重歯のある白い歯をみせて微笑し、持っている鋏を振りながら云った。
――これ、借りるよ。
――使ったら返すんだぜ。
彼は持っている鋏を見、うん、と云って去った。私は部屋へはいって着替えをしながら、敏夫がノートを読んだ、ということを直感した。いそいで机の抽出をあけたが、ノートは日記の下にちゃんとあり、動かされたようすもないし、それを披いたり読んだりしたという形跡も残ってはいなかった。にもかかわらず、敏夫がそれをみつけ、その項目を読んだという直感は、私をつよくとらえて放さなかった。
――中川のときもこんなふうだった。
中川という男が二階からおりて来たとき、どこにも変ったようすはなかった。私はまだ十歳だったし、中川に対して特に関心を持ったことはなかった。母の郷里のほうの親類の者で、大学の籍を東京に移したが、下宿のきまるまで預かる、ということであった。