Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ばちあたり

ばちあたり

山本 周五郎

Lisez ばちあたり de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 391 caractères · 44 écrans

Aozora Bunko

三

というところに、却って私は深い疑惑をもったのであった。

三

食堂車で夕めしを食べたあと、啓三にすすめられて私はウイスキーを飲んだ。姉もハイボールで半分ほど飲み、頬を赤くして先に車室へ帰ったが、私たちは二時間くらい残っていた。啓三は能弁にしゃべり、はでな身振り手振りで陽気に笑った。私は舐めるように、水と交互に啜りながら、殆んど黙って彼の話すのを聞いていた。

「生のままでいいのかい」と啓三が急に云った、「素人が医者に云うのはおかしいが、水で割るほうがいいんじゃないのか」

私はあいまいに首を振った。

車室へ帰ると、姉は読みかけの雑誌を顔に当てて眠っていた。啓三もしゃべりくたびれたのか、それとも酔ったためか、まもなく腕組みをして眼をつむった。私はその程度に酔うと、却って頭が冴えて眠れなくなる。窓外はすでに夜で、走り去る灯の数も稀にしかなく、うしろのほうの座席でときどき高笑いをする声が、めっきり客の少なくなった車室の静かさを際立てるかのように聞えた。

私は中川についてはなにも知らない。死んだ父はもちろん、母も彼についてはなんの話しもしなかった。満州でなにをしていたのか、いつ内地へ帰ったのか、敗戦の年に五番町の家へ寄ったあと、死んだのか生きているのか、いまでもまったく不明のままである。