Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひやめしものがたり

ひやめし物語

山本 周五郎

Lisez ひやめし物語 (ひやめしものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 861 caractères · 31 écrans

Aozora Bunko

ているから」

間もなく召されて正式の御達しがあるだろう、そう云って吉之助は帰った。……大四郎はとぽんとしてしまった、一生ひやめしと諦めていたのが、正経閣出仕で十人扶持、分家が定れば百石以上で家も貰えるという、また本には代え難いが三十金という大枚な金もはいる、あんまり思いがけない事ばかりで、すぐには嬉しいという気持さえ感じられなかった。

然し思いがけない事はそれだけではなかった。翌日、吉之助と二人で書物を城へ運び、正経閣の中や御文庫の建物を見て帰ると、非番で家にいた兄が待兼ねたように、「おいたいへんだぞ」と呼び止めた、母も嫂もそこにいて、にこにこ笑いながら彼を見た。

「横目の不破殿が婿縁組のはなしをもってみえた」

「……へえ」彼は眼をぱちぱちさせた。

「向うは誰だと思う、当ててみろ四郎」

「わかりゃしませんよ」

「なんとあの紙入殿だ、堤町の中川老だよ、八重さんという十八の令嬢がいる、それへぜひという懇望だそうだ」

そこまで聞くと大四郎は頭の中で、なにかくるくると廻りだすように感じた。すべてが矢継ぎ早で、自然のめぐりあわせとは思えない、なにかしら魔がさしたとでも云いたいくらいである。