Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lisez 人外魔境 (じんがいまきょう) de 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 101 713 caractères · 205 écrans

Aozora Bunko

外にでると、連嶺のしたは一面の樹海だ。樹海のはての遠いかなたに、ゆらゆら煙霧のようなものが揺ぎあがっているのがみえる。すると、そばの土人がおそろしそうな声でさけんだ。

「ほうれ、煙が鳴るだよ」

気のせいか、その煙霧がブウンと鳴っているような気がする。やがて、陽が落ちかかると硫黄色にかがやいて、すでにそのときは塊雲のように濃くなっていた。煙が鳴る――人煙皆無の大樹海のかなたに、毎日、日暮れちかくになるとこの霧が湧くという。そしてそれ以来、この部落を通過して悪魔の尿溜を衝こうとする、探検隊が一人も帰ってこないのだ。しかし、往けるところまでというとやっと承知して、あくる日、荷担ぎとともに密林をわけはじめたのである。

そこは、虎でもくぐれそうもない蔦葛の密生で、空気は、マラリヤをふくんでどろっと湿っけている。大蟻、蠍、土亀の襲撃を避け猿群を追いながら……、よくマヌエラがゆけたと思うほどの、難行五時間後にやっと視野がひらけた。

その地峡で、軍用電線が鍵の手にまがっている。すなわちその線を前方に伸ばせないものが、あらたに迫っている密林の向うにあるのだろう。案の定、荷担ぎどもは動かなくなってしまった。