Classiques japonais avec furigana
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へいほうしゃ
兵法者
山本 周五郎
Lisez 兵法者 (へいほうしゃ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 8 184 caractères · 16 écrans
と兵法者なにがしは光圀がまだつづけようとする言葉をさえぎって云った、「その大事小事にまぎれのない性根をかためることを以て神髄といたします」光圀はふり返った。そしてなにか珍しいものをみつけでもしたように、なにがしの顔をつくづくと眺め、やがて、「……そうか」としずかに頷いた。
そのとき以来、光圀の眼がときおり自分の挙措にするどく注がれるのを兵法者なにがしは感じはじめた。かれは心をひきしめた、――御しゅくんは自分を試みようとしておいでになる、そう思ったのだ。かれは召抱えられるまえから光圀を敬慕していたが、そば近く仕えるようになっていっそうその感がつよくなり、この御方のためにはよろこびを以て身命を捧げることができると確信していた。およそさむらいとして主仕えをするのにその覚悟のない者はないだろうが、かれはおのれの確信を誰よりもたしかだと自負している。刀法というものは奥底の知れぬものだから、自分がめいじん上手であるとは思わない、けれども、ながい困難な修業によって会得するところが無いではなかった、自分のは刀法のための刀法ではない、さむらいとして御しゅくんに奉ずる不動の一念をかためるためのものだ。