Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しょや
初夜
山本 周五郎
Lisez 初夜 (しょや) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 384 caractères · 35 écrans
「脇屋――」と久良馬が云った。
代二郎は頷いて立ち、久良馬の脇へいって坐った。そうして、久良馬が短刀を抜くと、静かに振向いて云った。
「井関どの、みとどけられたか」
藤也は眼をあげた。佐藤喜十郎もそちらを見たが、藤也は短刀のぎらぎらする光りと、衿をくつろげる久良馬の姿を見て、ひとたまりもなくその眼を伏せた。
「慥かにみとどけましたな」と代二郎が云った、「――では御帰城のうえ、御前へその旨を申上げて下さい、私は除村の友人として、遺骸の処置をして帰ります」
佐藤喜十郎がなにか云おうとした。けれども代二郎は気もつかぬようすで、久保貞造と板土友次郎に云った。
「御検視が帰られる、お見送り申せ」
井関藤也はすぐに立った。喜十郎はちょっと躊躇するふうだったが、井関が立ってゆくので、これもあとから座を立った。
黄昏れてきた部屋の中に、久良馬の取り直す短刀が、きらりと冷たく光って見えた。
代二郎はそれから一刻ちかくもおくれて城へ帰った。右京亮はすぐに、黒書院へ彼を呼びつけた。さきに帰った二人のどちらが報告したか、切腹の現場を見せなかったというので、右京亮はすっかり怒っていた。