Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

はつつぼみ

初蕾

山本 周五郎

Lisez 初蕾 (はつつぼみ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 17 525 caractères · 35 écrans

Aozora Bunko

「村に無くとも城下には有るだろう」

「いいえ」

はま女はさりげない調子で云った。

「もし村に乳があって貰い乳ができたら、わたくし育ててみようかと思いまして」

「ばかなことを云ってはいけない、こんな身の上になって、今さら子を育ててどうするのだ、まして氏も素姓も知れぬものを……」

こう云いながら、彼はふと妻のほうへ眼をやった、厨へ立ってゆく妻のうしろ姿に、なにやらさびしげなけはいが感じられたからだ。……彼は抱いた児の顔を見た、児は眠っていた、黒い髪のたっぷりある、唇つきのひき緊まった、眉のはっきりした品の良い顔だちである、彼は自分の手に伝わってくる赤児の体温の、湿っぽい感じに遠い記憶をよびさまされた。

「半之助をこうして抱いたことがあった」

心の内で彼はこう呟いた。

「あれからもう二十余年になる、そしてもし半之助にあんな事さえ無ければ、もうこのくらいの孫を抱いていたかも知れない、……はまもそう考えたのではなかろうか」

おそらく妻も同じように考えたのであろう、あれ以来どんなことがあっても半之助のことは口にせず、お互いに案ずるそぶりもみせなかった、しかし一日として忘れたことはないのである。