Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ばけいちょう
化銀杏
泉 鏡花
Lisez 化銀杏 (ばけいちょう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 197 caractères · 54 écrans
二
「余ってるよ、奥様はけちだねえ。」
と湯呑を返せり。お貞は手に取りて中を覗き、
「何だ、けも残しゃアしない。」
と底の方に残りたるを、薬のように仰ぎ飲みつ。
「まあ、芳さんお坐ンな、そうしてなぜ人を、奥様々々ッて呼ぶの、嫌なこッた。」
「だって、円髷に結ってるもの、銀杏返の時は姉様だけれど、円髷の時ゃ奥様だ。」
二
お貞はハッとせし風情にて、少年の顔を瞻りしが、腫ぼったき眼に思いを籠め、
「堪忍おしよ、それはもう芳さんが言わないでも、私はこの通り髪も濃くないもんだから、自分でも束ねていたいと思うがね、旦那が不可ッて言うから仕様がないのよ。」
「だからやっぱり奥様じゃあないか。」
と少年は平気なり。お貞はしおれて怨めしげに、
「だって、他の者なら可いけれど、芳さんにばかりは奥様ッて謂われると、何だか他人がましいので、頼母しくなくなるわ。せめて「お貞さん」とでも謂っておくれだと嬉しいけれど。」
とためいきして、力なげなるものいいなり。少年は無雑作に、
「じゃあ、お貞さんか。」
と言懸けて、
「何だか友達のように聞えるねえ。」
「だからやっぱり、姉さんが可いじゃあないかえ。