Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ばけいちょう
化銀杏
泉 鏡花
Lisez 化銀杏 (ばけいちょう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 27 197 caractères · 54 écrans
十五
我が座を立ちしと同時ならむ。と思うも見るもまたたくま、さそくの機転、下を覗きて、
「もう、奥様、何時です。」
「は。」
とお貞は起ちたるが、不意に顛倒して、起ちつ、居つ。うろうろ四辺を見廻す間に、時彦は土間に立ちたるまま、粛然として帯の間より、懐中時計を取出し、丁寧に打視めて、少年を仰ぎ見んともせず、
「五十九分前六時です。」
「憚様。」
と少年は跫音高く二階に上れり。
時彦は時計を納めつ。立ちも上らず、坐りも果てざる、妻に向いて、沈める音調、
「貞、床を取ってくれ、気分が悪いじゃ。貞、床をとってくれ、気分が悪いじゃ。」
面は死灰のごとくなりき。
十五
時彦はその時よりまた起たず、肺結核の患者は夏を過ぎて病勢募り、秋の末つ方に到りては、恢復の望絶果てぬ。その間お貞が尽したる看護の深切は、実際隣人を動かすに足るものなりき。
渠は良人の容体の危篤に陥りしより、ほとんど一月ばかりの間帯を解きて寝しことあらず、分けてこのごろに到りては、一七日いまだかつて瞼を合さず、渠は茶を断ちて神に祈れり。塩を断ちて仏に請えり。しかれども時彦を嫌悪の極、その死の速かならんことを欲する念は、良人に薬を勧むる時も、その疼痛の局部を擦る隙も、須臾も念頭を去りやらず。