Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lisez 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 493 291 caractères · 991 écrans
「さあ」
綱手は、月丸が、愛欲のことでなく、さっきの言葉のつづきを話すのだと思って、安心した。だが、答えられないので、そのまま黙っていた。
「母上は、生きておられる。父上は、然し、斬死なされた。何故、それに、お身は、母上にのみ、孝行をなさる」
綱手は、答えなかった。
「綱手殿」
綱手は、まだ答えなかった。こうして、親切に、熱心に、味方してくれる月丸に、打明けたくて、鉄瓶にたぎる湯の如く、口まで出かかっていたが、それがいえなかったし、だからといって、外のことでいいまぎらすことも、できなかった。
「何故、返事なされぬ」
月丸の声が、近々として、蒲団の端が、動いた。綱手は、月丸の無礼を咎めるよりも、月丸に、何んとかうまく答えたいと、考えていたし、月丸の同情に対し、自分の答えのできないのに困っていた。
「無理かも知れぬ」
こういった月丸の声は、坐っているらしく、上の方でした。
「いつか、判る、と――その意味は?――綱手殿。某の申した、女ながら、天晴れの決心が、わかると、申す意味か――そうとしか、某にはとれぬが――綱手殿、そうとってよいか、よくないか――」
低いが、熱情的な言葉であった。