Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lisez 南国太平記 (なんごくたいへいき) de 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 493 291 caractères · 991 écrans

Aozora Bunko

月丸は、暫く、綱手の寝息をうかがってから、立上った。そして、足音を盗んで、障子を忍びやかに開けた。冷たい廊下、冷たい風の中へ出た。

(だが――わしは、この女に惚れてもいる。それは、本当だ。だが、味方をするといって欺きもした――欺いたが、好きは好きだ――好きな女を――欺くということ――それも、武士としては致し方が無い。いいや、それが、武士の辛い道だ――然し、この女に、それが判るだろうか?)

月丸は、そう思いながら、跣足のまま、苔のついた土の上へ降りて、草の中を、庵室の方へ歩み出した。

(わしの、この――こうした本心を知ったなら? 怒るか、嘆くか?――怒りもするし、嘆きもしようが――妻は、嫁しては、夫に従うべき筈だ――)

月丸は、綱手を、妻とし、自分をその夫だと考えてみて、苦笑した。

(あれで――妻であり、夫であるのか)

と、思ったが、綱手の誓ったそうした言葉も、自分のいった同じ言葉も、そういった時は、お互に本気だったと思うと、人間は、愛欲の世界にいる時は思慮の無い情熱で、憑かれたようになるものだと思った。

(妻でも、夫でも、何んでもよいが、本心を語るのは、少し早い――いいや、早いというよりも、あの女は、わしを、自分らの味方と信じて、肌を許したのだ。