Classiques japonais avec furigana
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ゆうじんいっかのし
友人一家の死
松崎 天民
Lisez 友人一家の死 (ゆうじんいっかのし) de 松崎 天民 (まつざきてんみん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 805 caractères · 14 écrans
三軒家の宅へ行って、友人三五人と共に、納棺の手伝いをした時、僕は初めて落涙した。今井が病気で死んだ事に対しては、寸毫の責任も無いけれど、彼が在世中に、親友の一人として、僕は何程の力を致したであろう。細君の病中や死去に際しても、今井の病中に対しても、僕は慰めの言葉すら、怠っていたではないか。凡そ今井の友人として、僕ほど不信な、僕ほど非人情な、僕ほどのほうずな男は、何処にあろうとも思われない。死だ後の今となっては、この苦しみも、悲しみも、思い遣りも、何の力ない空な事になってしまうではないか。
十八になる長男は、蒼白い顔をして、如何にも父か母かの病菌を受けているような様子に見えた。
「君まで病人になっては不可いぞ。心を丈夫にもって、早く健康になって働くのだ、ね……」
僕はこう云っている間に、我ながら涙ぐましい心持になった。十五歳の秋、母を失った当時の僕を想い起して、悲しい気持がした。妻の無い母の家で、病み疲れていた今井の心持を想った時、僕はハラハラと落涙した。頼りと思う病床の父に侍して、不如意勝な幾月日を送って来た子供達の心持を想像した時、僕は両手で顔を掩うて泣いた。