Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あづまばし

問はずがたり・吾妻橋 他十六篇

永井 荷風

Lisez 問はずがたり・吾妻橋 他十六篇 (あづまばし) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 75 586 caractères · 159 écrans

Aozora Bunko

二人づれで涼みに来たり、子供を遊ばせに来る女もいたが今はそれも見えない。時候はいつか秋になり、その秋の夜も大分露けくなった。と思うと、ますます現在の家にいるのがいやでいやでたまらない気がして来る……。

季子は三人姉妹の中での季娘で、二人の姉がそれぞれ結婚してしまった後、母と二人埼玉県の或町に疎開していたが、この春母が病死して、差当り行く処がないので、この町の銀行で課長をしている人に片付いた一番年上の姉の許に引取られたのだ。姉には三ツになる男の子がある。義兄は年の頃四十近く、職務のつかれよりも上役の機嫌と同僚の気受を窺う気づかれに精力を消耗してしまったように見える有りふれた俸給生活者。姉も同じく、配給所の前に立並ぶ女達の中には少くとも五、六人は似た顔立を見るような奥さんである。ヒステリックでもなく、と云って、さほど野呂間にも見えず華美好きでも吝嗇でもない。掃除好きでもない代り、また決して無性でもない。洗濯も怠らず針仕事や編物も嫌いではないと云うような奥さんである。毎日きまった時間に夫が帰って来ると、新聞で見知った世間の出来事、配給物のはなし、子供の健康――日々きまった同じ話を繰返しながら、いつまでも晩飯の茶ぶ台を離れず、ラジオの落語に夫婦二人とも大声で笑ったり、長唄や流行歌をいかにも感に堪えたように聞きすます